サボタージュの達人

思えばサボってばかりの人生である。幼い頃から気分じゃない時は本当に気分じゃない。

小学校ではバスケ部、中学校では陸上部に所属していた。しかし、決してスポーツが好きな訳ではなく部活のコミュニティが好きだった。そのため練習が大嫌いなのである。しょっちゅう調子悪いお腹痛いだの言ってサボって家に帰り宿題してゲームをした。時には仮病で保健室に駆け込み早退したりした。元々平熱が高めなので、「いつもより高いですごほんごほん」とか言ってれば早退できるのである。高めの平熱はサボるための特殊能力である。一方で勉強はちゃんとしていた。親友とテストの点数を競っていたので学校や塾の授業は熱心に聞いていた。中学2年生の時に5教科495点をとってごほうびにすき焼きを食べた時は勉強はいいもんだなあと思った。

高校ではちゃっかり文化系に転換しのびのびした学校生活を送っていた。ただ、僕を理系の道へ誘った某数学教師の言葉「義務教育じゃないんだから大学に入学しても毎日大学なんか通うな!好きなこと勉強しろ!」に多大な影響を受け、後のキャンパスライフでてきちゃんはサボりの代名詞となる。高1の頃はみんな朝早く登校していたものの、だんだん脱落者が現れ寝坊するようになっていった。そうして高3あたりで僕もサボタージュの悪魔に取り憑かれた。

「じゃあ行ってきます。」

そう母に告げて朝家を出ると、電車に揺られ到着したのは京都。修学旅行客のふりをして制服で清水寺を観光しクイックターン、午後の授業からしれっと顔を出したりした。受験勉強に疲れるとしばしばそういうことをした。1回有馬温泉を目指したが、どうも午後の授業に間に合わない予感がして目前で引き返したこともある。東進に入り受験勉強をゴリゴリしていたが、やはりここでも所々サボっていた。コンビニでアルコール入りのチョコ(法的に問題なし)を買って少し陽気になりながらブースで映像授業を受けたりした。時にはタワレコで買ってきたサカナクションのライブDVDを東進のブースで鑑賞したこともある。これはステージの照明で映像がチカチカしているのとヘッドフォンの音漏れによって近くで授業を受けていた同級生にバレた。

晴れて大学生になるともう酷い有様である。家を出る時は大学に行くつもりだったのに、電車に乗ると億劫になって梅田のジュンク堂で買い物したり、遠くのラーメン屋さんに行って家に帰ることがしばしばあった。大学に辿り着いたとしても授業をサボってサークルのメンバーが集うカフェに直行することが多かった。なんなら授業中にトイレに行くふりをしてカフェに行き、授業が終わる頃に戻ってくることもあった。各授業ではこれ以上休むと単位が無いという回数が設けられているが、僕にとってはサボることができる回数である。例えば英語の授業は5回休めるのだが、最初の授業は出席してその後5連続で休み、以降はちゃんと授業に顔を出す背水の陣を敷いた。出席点が無いドイツ語の授業ではガイダンスの1週目以外出席しなかったこともある。それでも単位はAだったのでどんだけあの教授は優しいんだとびっくりした。サボっているのだが別に勉強していない訳ではなく大学の図書館で建築などの本を借りまくってよく読んでいた。興味のある授業は逆にちゃんと出席して学んでいた。ともかく、単位を埋めるだけの授業を聞いても、興味が無いのだから得られるものは薄いと考えていた。結果、僕のGPAは恥ずかしながら2.1である。ただ平均して2.1なだけで能力値はピーキーポケモンのツボツボやハピナスみたいなもんである。リザードンやエースバーンよりもツボツボのほうがネタ的においしいのである。