茶屋町の不審者

阪急大阪梅田駅の北東、茶屋町は大学時代の僕のテリトリーだった。サボタージュの達人は大学なんか行くはずがなく、朝から茶屋町に駆け込んだりした。

茶屋町口改札真ん前、ゲート型の商業施設NU茶屋町にまずは向かう。エスカレーターをグイグイ登ってイシバシ楽器に到着、シンセサイザーの品揃えを確認する。そして次は島村楽器に向かって同じく品揃えを確認する。長期休暇のバイトで手に入れた金でどの楽器を買うかもにゃもにゃ考えながら隣のジュンク堂へ歩く。巨大なジュンク堂は品揃えがとにかく素晴らしく、求めている本はだいたい置いている。建築・芸術コーナー、サブカルマンガコーナーを練り歩き、ピンときた書籍を買う。

ジュンク堂を出ると太陽が真上に位置している。3店への巡拝を終えた後、なんとコンビニでほろよいを買って毎日放送前の段差に座ってぐびぐび飲んでいる。昼間っから酒を飲んでいる。大学に行くのが面倒くさい、建築設計のアイディアが浮かばないだろうかと思いつつスケッチブックに書き込みながら飲んでいる。街が好き、酒も好き、必然的に路上飲酒大好き人間なのである。至って真面目だが傍から見ると不審者である。当時はよく友人とほろよい片手に街を歩いたりした。

2019年に渋谷区で路上飲酒禁止条例が制定され、明日は我が身と震え上がっていた。しかし、今住んでいる街はどうやら路上飲酒に厳しくなさそうである。公園でイベントが催されていると、お店で売られているクラフトビールを芝生に寝っ転がって飲める。最高の街だ。

 

昨日、会社の同期と飲んだ。コンビニでほろよいの缶を掴むと茶屋町路上飲酒時代の背徳的な記憶が蘇る。以前ストゼロを飲んだがえぐみが強く僕には合わなかった。最近ストゼロの缶にストローを挿して飲むのがエモいとされるらしい。メンヘラ女の子御用達の酒とも聞いた。でもストゼロはそんな生易しい酒じゃない。全身阪神タイガースグッズに包まれた猛虎男が阪神電車に乗り込み椅子にどかっと座ってぐびぐび飲むのがストゼロ500ml缶である。実際にこの光景を真向かいで目にした僕は阪神電車に畏怖の念を覚えた。海外の人々にとって日本は路上飲酒ができる治安の良い国であり、路上飲酒を目的に日本を訪れる観光客もいるらしい。しかし路上飲酒が度を過ぎると治安は急速に悪化する。路上飲酒と治安は表裏一体、色即是空、空即是色なのである(絶対に違う)。99.99はえぐみがなくぐびぐび飲めるが度数が高いので気づけばべろんべろんの危険な酒である。ヤクザの肩とぶつかり身ぐるみ剥がされるかもしれない。という訳で路上飲酒にはほろよいがちょうど良い。