育児休暇

朝ベッドに転がって本を読んでいると、何かがいる気配がする。左を見ると真っ黒のさるぼぼみたいなのがいる。ムムッと思って右を見れば真っ白のさるぼぼがいる。立ち上がると僕の両肩に彼らがちょこんと乗っている。たぶん左手の黒いのが鬱で、右手の白いのが躁である。実体化されたイメージとして僕の周りに現れるようになったのか?「まあ、そういうこともあるわいな」とベッドに戻って読書を続けると、彼らも両脇でまじまじと僕の本を読もうとしている。彼らも彼らなりに勉強熱心なようで感心した。f:id:labotekichan:20210121100452j:image

この性格が真反対の双子は僕のことが大好きなようで、いつも僕の両肩に乗っている。重たくはないが肩こりの原因かもしれない。たまに黒いのが部屋をドタドタ走っているような気がするが、白いのは意外と静かなのかも。病気になりたての頃は躁や鬱を鵺のような怖いものだと思っていたので、とうとうこんなかわいらしいイメージになったことは大進歩ではなかろうか。

そして、彼らは喋らないことに気づいた。今までは躁の人格、鬱の人格が大声で暴れるものだと思っていたがそうではないらしい。おそらく、僕が躁と鬱の代弁者なのである。躁のジェスチャーを見て僕が躁になるような感じだろうか。そうとわかればこの病気にもっと向き合うことができる。彼らの話をきちんと聞いてあげつつ、優しく躾もしつつでのんびり彼らを成長させていこう。

両肩に双子を乗せて病院へ向かう。病院で3人ちょこんと座って、日記を使ってうまいこと感情をコントロールしようとしている旨を伝えた。それでいいらしい。朝飲んでるリーマスの量を増やすことを提案されたが、今の量で双子を観察することにした。

家に帰ってマインドフルネスの本に書いているプログラムをやってみる。まずは10分ほど床に座って、呼吸に意識しながら頭の中に浮かんだ考えを掴んでポイポイ捨てる。両肩に乗っている双子を降ろし、ストップウォッチを押してやってみる。考えをポイポイ捨ててもう10分かなと思って目を開けてストップウォッチを見ると14分だった。3人であれれと顔を見合わせた。

次に、寝っ転がってつまさきから頭の先まで体の各部位に意識を向けるボディースキャンをやってみる。頭の中に浮かんだ考えもこれまたポイポイ捨てる。腹式呼吸するたびに各部位も呼吸しているように意識するのがポイントらしい。なんと45分もそれをする!長いなと思ったがひとまずやってみる。どうやら身体の右側よりも左側のほうが強く意識できる。姿勢の悪さが認識にも左右差を生じさせているのか、謎である。かなり丁寧にやって頭頂部に到達するとぴったり45分。あっという間である。僕の両側で双子は爆睡している。ボディースキャンは躁鬱のお昼寝タイムだと解釈した。

いきなり僕の前に現れた双子ちゃんをどういうふうに育てればよいのだろう。教育方針が必要なのだろうか。僕の肩から降りてドタドタ走り回っているのがいいんだろうか。でもなんか違う気がするなあ。僕ともっとスムーズに心をかよわせるようになったらよいのかな。心をオープンにしないといけないので僕も成長しなければ。

いつものBeatFitの睡眠コースをして寝ようとするが、ボディースキャンのフェーズでいつもと明らかに感覚が違う。僕はあれれ!と思ってちょっとはしゃいでしまい寝かかっていた躁が目覚めた。「あれは成功も失敗もなく淡々とやらなあかんのじゃ...」と反省。結局午前3時くらいまで起きた。でも眠れない夜ももう怖くない。細かいサイクル・ループを見つめて日々微修正していくだけである。