フジモテキ・レポートⅠ

週末の4月3・4日、福井県高浜町城山公園で開催されるイベント「USFES」。そこに突如現れるゲリラ古書店「フジモテキ」。

 

その2日前、4月1日(木)にフジモテキ相方の藤本さん(研究室の先輩・建築設計のおしごと・USFESの主催である高浜明日研究所(アスケン)のメンバーでもある)からLINEが来る。

前日は大阪で仕事しているため、どうやら藤本さんは当日のオープンから少し遅れて到着するらしい。

おめえ...

設営どうすんだ俺一人じゃねえか!?身体に負荷をあまりかけられないってちゃんと伝えたはずだぞ!?今ド鬱だぞ!?荷が重いぞ!?先に言わんかい!!

 

とりあえず、「しばく」とだけ返信する。頭を冷やし、しばらく考えて、結論を出す。

「やるしかねえな...」

序盤は僕の本だけ並んでスカスカかもしれないので追加で6冊を選出し、キャリーケースに詰めていく。手渡す時に使うレジ袋などを近所の店で買う。釣り銭や消毒スプレーなど忘れ物が無いか一つ一つチェックしていき、ひとまず準備OK。

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4月2日(金)昼すぎ、重さ30kgぐらいありそうなキャリーケースをゴロゴロ転がしていざ出陣。名古屋駅周辺でかわいい木製の熊やペンギンのハンドメイド人形などを購入し、名古屋駅から特急しらさぎ福井県敦賀駅へ。岐阜駅~米原駅の間は新快速も各駅停車になるが、特急は次々と駅をすっ飛ばしていくので不思議だった。大垣駅関ケ原駅の間には、蒸気機関車時代に急勾配を上るために設けられた緩やかな迂回線が今でも残っている。金沢へ向かうしらさぎはこの迂回線を通過するが、遠くに見える東海道本線沿いの集落の眺めが心地よい。

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米原駅で進行方向が変わるので、乗客みんなで一斉に椅子をぐるっとひっくり返す。琵琶湖東岸を進んでいく。西岸の山々が霞んで見えないので、琵琶湖が海のように見える。鉄道が日本にやってきた直後の東海道本線は琵琶湖東岸の長浜駅が終点で、そこから琵琶湖の水運で大津経由で京阪神へ貨物を運んでいたと聞いたことがある。さらに遥か昔には琵琶湖をずっと海だと思って生活していた人もいるかもしれない。鮒は海の幸だと言い張っていたか。

名古屋駅を出て100分ほど、県境の山を越えて敦賀駅へやってきた。ここから小浜線でのらりくらりと目的地まで90分。隣に置いたキャリーケースのタイヤに靴をひっかけて動かないようにしているので足が結構つらい。線路脇の小川に並んで咲く桜が綺麗だった。近藤ようこの漫画『桜の森の満開の下』を持ってきたから売れたらいいな。やがて右手に日本海が見えてくる。そうして夕方17時30分頃、のらりくらりと目的地の若狭高浜駅にやってきた。エレベーターがない、大変だ。握力が20kgぐらいしか無いので、キャリーケースを持って階段を登れない。階段に設けられた昇降機を発見したので駅員さんをインターホンで呼ぶ。隣のホームに駅員さんが現れたが、それは車椅子用だからダメですーっと叫んでいる。30kgくらいあるんです無理ですお願い助けてください押し潰れます無理ですとこちらも粘る。必死の説得でなんとか使わせていただくことになりました、本当にありがとうございました。

 

駅を出てキャリーケースを転がして「レストラン 源治」に到着。大好物の鯖寿司を食べる。鯖とシャリの間に大葉が挟まっている、見たことのないタイプ。そして鯖がとても分厚い。断面をよく見ると、シャリと鯖の幅がほぼ1:1である。そして、ジューシー!

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向かいのファミマで日焼け止めなどを購入し、宿に向かう。民家と旅館が並ぶ細い道を進むと海水浴場が現れた。静かな海が大好きだ。耳を澄ませながら海沿いをゆっくり歩いていく。

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会場の城山公園に到着したが、準備で忙しそうだ。あっちゃこっちゃで指示が飛んでいる。挨拶は明日にしよう。そう思って城山公園隣のホテル城山荘にチェックイン。

荷物を置いて夕暮れの城山公園を少し散歩する。城山公園は海と2方向に接していて、入り江のビーチはちびっこ用らしい。海と風の心地よい場所だ。芝生にゴロンと寝てみる。空には鯉のぼりがたなびいている。風が吹く静かな中で星を見る。こんな場所で古書店ができるなんて、なんて最高なんでしょう。ベンチに白衣を纏った謎の恐竜が化石を手にして座っている。福井県は恐竜で有名だけれども、これもゆるキャラの一種なのだろうか。僕もベンチに座って一緒に自撮りして遊んだ。遠くで設営しているアスケンのメンバーたちを横目に、ブレただの暗いだの言いながらパシャパシャ撮り続ける。不審者まっしぐら。いいのが撮れて宿に帰る。

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宿に帰って大浴場に入る。日本海の絶景が見えるらしいが、すっかり暗くなってしまって見えなくなってしまった。起きれたら朝風呂にしよう。部屋に戻ってクロッキー帳を取り出し、店の看板を書き始める。ページ下部を折り曲げてフリップのようにめくれるようにする。時間と気分で可変する本屋さんを目指す。藤本さんに案を求めながら書いていくが、お互いだんだん深夜テンションになっていき、書く内容が適当になっていく。15パターン書いて任務完了。

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翌朝6時半に目覚める。早起きだ、もうちょい眠れるな。LINEを見ると藤本さんから7時半から準備開始だって!と連絡がある。設営は10時からだったはずだけど。急いで支度をする。部屋の鍵を宿に預け、キャリーケースをズンドコ運んで会場にやってきた。全然人がいない。もう一度LINEを開くと、藤本さんから「運営サイド(アスケン)の集合時間かも!」と連絡が来た。

藤本を海に沈めよう。そう思った。