文学部お嬢さまことば専攻

最近お嬢さまことばが流行っている。格闘ゲームをたしなむお嬢さまの漫画『ゲーミングお嬢様』も大人気。お嬢さま口調縛り麻雀もあるらしい。英語禁止ボウリングよりも難しそうだ。お嬢さまことばで競い合う時代が来る前に、僕も言語習得しなければならない。

という訳で、古本屋さんで加藤ゑみ子の『お嬢さまことば速修講座』を買ってきた。言語学者が書いた本かと思ったら、なんとインテリアデザイナーの方が書いた本で驚いた。インテリアデザインの立場から生活行為としてのことばづかいについて長年研究しているそうだ。

「美しいことばづかいは美しい生活環境を生み出す。」なるほど、僕も心掛けよう。

少し読んでみたが、ことばづかい以外にも気品のある立ち振る舞いなど、結構お嬢さまにならなくても参考になることがたくさん書いてある。良い本だあ...

 

お嬢さまことば速修講座 改訂版 (加藤ゑみ子の上質な暮らしシリーズ)

お嬢さまことば速修講座 改訂版 (加藤ゑみ子の上質な暮らしシリーズ)

  • 作者:加藤 ゑみ子
  • 発売日: 2017/06/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

しかし、この本は僕にとって恐るべき罠があった。本文が全てお嬢さまことばで書かれている。さすが速修講座、頭にお嬢さまことばを刷り込ませるための罠が随所に仕掛けられている。僕は本を読むときに頭の中で勝手に音読してしまう(日記を書く時も頭の中で音読ながらタイピングする)。お嬢さまことばを1つ1つ音読してしまうのだから、みるみる僕はお嬢さまになってしまう。どうしましょう、会社で不意にお嬢さまことばが出てしまったら。お里が知られてしまいますわ。

 

体調が少し良かったので丸善に行った後少し散歩していたら、向こうから戦国武将のコスプレイヤーの隊列がやってきた。軽く会釈すると、槍を持った人から挨拶された。

 

「こんにちはじゃ。」

「こんにちはじゃ???」

 

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帰宅後、頭の中で「こんにちはじゃ。」が頭の中で駆け巡る。な、なんだその中途半端すぎる言葉は。僕も半端な覚悟でお嬢さまことばを学ぶと、いざお嬢さまことば縛りルールでゲームをしている時、「ぶち殺しますわよ!」などのような中途半端なお嬢さまことばが出てくるかもしれない。この場合、正しい言い方は「お墓の準備はよろしくて?」「辞世の句はお読みになったかしら?」となる。婉曲的な感じが若干京言葉にも似ている、なんて書いたら京都府民にボコボコにされるかもしれない(僕は大阪育ちだが、ほんのりと京言葉の影響を受けている土地柄で「~しはる」を多用したりする。Wikipediaの「大阪弁」を見ても、違和感を覚える方言が実は結構多い。ひとくくりにされがちな近畿方言も細かい点で違いがたくさんある。)。いとも簡単に婉曲的表現を叩き出すお嬢さま街道の道程は長いなと思った。