もぬけの殻

休職中なので僕は愛知にとどまるけれども、僕のいる部署が5月から大阪に移る。4月中にデスク周りを片付ける予定だったのに、日記の製本などに没頭してすっかり忘れていた。

 

4月30日(金)、久々に会社に行く。有給休暇or出張で誰もいない。この日はほとんど休んでいると同期から聞いてはいたが、誰もいないとは。デスクの上の書類の山をシュレッダーにかけたり、ファイルを段ボールに詰めていく。周りのデスクを見た感じ、そんなに片付いていない。まだ慌てる時間じゃない。途中で飽きて退散。

 

5月5日(水)、GW最終日。ひとしずくさんからの帰り道、会社に立ち寄ってさらに片付けを進める。音楽をかけながら、1人せっせと書類を運んでほとんど片付いた。ここまで片付いたら、めまいで倒れても誰かがなんとかしてくれるはず。

 

5月6日(木)、ジリジリと暑い。気づけば長袖の季節が終わろうとしていく。会社に行って棚や倉庫の片付けを手伝う。心拍数と呼吸に気をつけながら、自分で自分を監視しながらお手伝いする。昼休みにインドカレーを部署の先輩方と食べる。チーズナンがデカいので毎度おなかいっぱいになる。先輩から、僕が復帰したら別の部署に異動になることを聞く。「あ、そうなの。」という感じになる。2月頃にそんな話をちょっと聞いたが、正式決定したんだ。チーズナンの重さも相まって、さすがに眠たくなってきた。ちょっとお手伝いしてから、家に帰ってお昼寝した。

 

睡眠薬を処方されて3週間ほど、眠るコツをなんとなく掴む。頭の思考・独り言のスピードを渡部陽一レベルに落とす。睡眠薬(仕組みは麻酔らしい)による思考の減速を、睡眠薬無しで再現する。あえて睡眠薬を飲まずに寝てみたが、睡眠薬ありのケースと同様の眠り方ができた。ただ、翌朝はいつもよりだいぶ早めの午前6時に起きた。外はもう明るい、近づく夏至、早まる朝。同僚から急に減薬するとそれはそれで危険とアドバイスが来た。長期的に投薬していないので大丈夫と思うが、まあ注意することにする。

 

5月7日(金)、部署の移転作業最終日。久々に上司に会う。最近日記を更新していなかったのは熱中していたからであり、体調不良ではないことを弁明。GWの活動あれこれをご報告。上下左右が逆さまになったような世界でぎこちなかった身体と精神が、一挙手一投足を意識しながら徐々に制御できるようになってきたことも伝える。しかし、右足を出そうとしたら左手が出るような、ちぐはぐな操り人形みたいだった身体がやっと1歩動き出したと段階であり、歩き出す、動き出すにはまだまだ時間がかかるに違いない。物凄く複雑で難解で緻密な生活を送っている。

昨日聞いた僕の部署異動の噂を確認する。僕としては復職・退職とどうなるかわからないが、両睨みでいろいろ活動していることを伝える。どっちの道を歩むにしろ、僕が今していることは必ず未来を導いてくれるはず。病気が落ち着いたら、一度どんなプロジェクトが動いているのかレクチャーをしていただくこととなった。非常に興味深いし、ワクワクするし、悩ましい。休職開始から1年以内(つまり今年10月まで)に結論を出したいとは言ったものの、出せる状態まで持ってこれるか自信は全くない。辞める・辞めないの二枚舌外交になりそうで少し怖い。慌てずゆっくりとと仰っていただき不安が緩む。今後の連絡体制なども相談・確定。産業医面談の報告・電話・日記のトリプル体制。

 

大阪からこちらに異動になった方に挨拶する。気さくな方で、僕の体調まで気にかけてくださり、本当にありがとうございます...お酒が大好きらしく一緒に飲んでみたいけれども、緊急事態宣言が出そうな状況下(しかも、僕は1ヶ月以上断酒しており、たぶんこれからもほとんど飲まないと思われる...)。1段飛ばしで階段を登るのが運動としても姿勢矯正としても良いとお教えいただいた(早速家の階段を登ってみたら、自宅に辿り着く頃にはフラフラになっていた。祟る運動不足。)。

 

昨日の続きの作業をみんなで進めていく。あれほど物に溢れたオフィスが徐々にすっからかんになっていく。ついに荷詰め作業が終わる。

先輩から「いつ復帰するの?」とやや催促めいた聞き方をされるが、正直そんなもんわかるかーい!という感じであり、ちょっと怒りつつお茶を濁す。他者からその姿を全く捉えられない病気なので、会社にふらっと現れて手伝ったりすると、今にも復帰できそうな元気な姿に映るらしい。明らかにズレがある。聞いてると今年も忙しそうで申し訳なくなる。

恥ずかしくなっちゃって、日記やゲリラ古書店のことを同じ部署の先輩たちに実はほとんど話していない。病気のことも上司以外ちゃんと話していないので、上下左右逆さまのような生活を送っていることを知らない。なんなら他部署の日記読者の方々のほうが僕のことをよく知っている。これから徐々にバレていく気がする。

 

 

帰り道の交差点、不動産屋の営業に声をかけられる。

 

「あ、来週から大阪転勤なんですよ。」

 

と嘘をついた。