天秤と分銅

1週間ぶりに日記を書きます。皆様のお察しの通り、うっかり死にそうだったのです。

 

 

6/22(火)、名古屋市金山のTOUTEN BOOKSTOREさんに行く。ひとしずくの田中さんに教えてもらったのだが、柏書房の編集者である竹田純さんが店内に1週間もいらっしゃるらしい。編集や出版、本の作り方など様々なお話を伺える良い機会だと思った。

 

ただ、漠然としたまま話してももったいない気がして、いつものようにクロッキー帳に絵を描いて整理する。時間軸の上に富士山の絵を描いて、これまでの経緯と現在地を時間軸に沿って示す。山頂には目標を書き、現在地と山頂の間に暗雲を描いて、これから何が待ち受けているのかわからないことを示す。素人だからこの暗雲の正体がよくわからないので、竹田さんに伺いましたという流れ。

ちなみに掲げた目標は、売れっ子作家になって億万長者になることではない。「届くべき人に自分の作った本が届く。そのために、本に触れられる表面積を大きくしたい」である。

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おそらく、暗雲を解きほぐす見方は4つあると思い絵にしてみる。

①山頂までの階段の段数を数える(工程数・タイムスパンの把握)

②段差の高さが異様に大きい箇所があるか(ボトルネックの把握)

③迂回ルートがあるか(ボトルネックの回避)

④登頂者の記録が残っているか(先行事例の把握)

この4つの角度から切り出せば見えてくるはず。リトルプレス版漂流日記1・2巻とクロッキー帳を持って竹田さんに会いに行く。



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クロッキー帳に書いたことを説明し、リトルプレスの実物をお見せする。竹田さんがリトルプレスをパラパラと読み、「これでも十分商業出版に向けて仕掛けられますよ」と一言。そこまでいけるんですかと驚く。

 

竹田さん曰く、僕の目の前に待っている登山道は2ルート、そしていずれもシンプルである。

①現在のようにリトルプレスとして本屋さんに置いてもらい、徐々にリトルプレス界隈での知名度を上げていく。そうして出版社から声がかかるのを待つ。ただ、運の要素が大きく絡む。

②いきなり出版社に原稿を持ち込む。手作りのリトルプレスでも十分。

これをパラレルに進めてしまってOKとのこと。ただ、僕は小心者なので①と②の比率を初めは8対2くらいにするのかなと思う。今作っている本の感想もまずは聞いてみたいし。

 

ただ、②のルートについては注意が必要で、出版企画書なるものが必要らしい。本の目的、ターゲットなどを記載するが、大切なのは類似書籍との違い・新規性。新規性というワードを聞いて論文を書いていた頃を思い出し頭が痛くなる。いずれにせよ、出版社に突撃するならそういうことも後々考えておく必要がありますねとのこと。

また、出版企画書の中で、本のタイトルが最重要らしい。何について書かれているか一発でわかるタイトル。企画会議における判断基準の8割がこれと言っても過言ではないほど。そう考えると「てきちゃん漂流日記」、まずいかも! いやいや、サブタイトルを付けたり、帯に載せる文言を具体的に提示して伝えることができるので大丈夫。

何が言いたいのかわからない出版企画書も結構多いようで、そうなると企画会議では「何とも言えない」というぼんやりした理由の却下になってしまうらしい。逆に、目的などがピシッと構築されていると、「あの出版社だと合うかもしれないが、うちにはちょっと合わないかな」のような、より具体的な断られ方になってくる。それだったら後者のほうが良いよね。後日、「出版企画書」で画像検索すると、何が言いたいのかわからない文書がぽんぽこヒットした。なるほど。

他にも参考文献などたくさんのことを教えていただき、見事に暗雲が晴れる。既存の本を研究したページをお見せすると「書籍編集者になれますよこれは」とのこと。何事もリサーチ・相談・ラフ画の三種の神器、あとはスモールステップが大切としみじみ再認識する。

「良い本作るぞ〜!」と思いながら家に帰った。

 

 

その後である。

類似書籍との違いや新規性にやや目が眩む。日記だし、リトルプレス制作の話も書いているし、病気のことも書いているし、様々なことを書いている。一度それを要素に分解して捉え直す必要がある気がした。竹田さんとの話にも出てきたけど、「当事者研究」としての価値があるかもしれないし、でも今のままでは強度が足りないかもしれないし。でも、日記としてスタートしたからスタンスを大幅に変えることはできないよ。あーだこーだ考える。でも、今の時点で見えるものじゃないよなきっと。今見る必要が無いものを気にしてしまうのが困る。同時並行で些末な人間関係その他諸々にも疲れ、とりあえずほったらかして明日の自分に任せて眠る。

 

6/23(水)朝、ものの見事にやる気がない。日記を書くことも、そして生きることも全て他者の後続、車輪の再発明のように感じてしまう。全て無駄だと。日記・SNSその他アカウントを全て消してこの世から消えてしまおう。でも、飛び降りは怖い。睡眠薬オーバードーズも家にある10錠ではきっと足りない。

 

日記を書いている6/28(月)の僕からすると、どうしてこうなってしまったのか本当にわからないし、豹変っぷりが怖い。ここまで自分で自分を追い込むかと。攻撃的になるのかと。ただ、思い当たる節も無くはない。小学生の頃から、わからない問題があってイライラすると全力でテキストをぶん投げる癖があった。大学生の頃も勉強しててイライラするとペンをぶん投げている。いつもニコニコてきちゃんも、フラストレーションが蓄積されるとどうも攻撃的になるらしい。僕のせいで絶交になってしまった友人も当時2人いた。ただ、その攻撃性はおおよそ内向きになっており、向かう先は自己否定で結局は自滅する。最近はその衝動が現れずペンを投げることもなかったのだが...

 

ともかく、破壊衝動やら自責の念やら希死念慮やらいろいろ混じり大ピンチ。この感情の波に永遠に揺さぶられることが賽の河原のように感じられる。これから死ぬまで揺さぶられながら生きるか、今死んで楽になるか、天秤が揺れている。損益分岐点から揺らいでいく。今死ぬほうに分銅がめっちゃ落ちてくる!

いやあ、どうしたものかな。そうは言っても竹田さんにとても褒められたし、もうちょっと頑張ってもいいんじゃないかという気もする。社会性とかそんなものより、楽しいかどうかが一番大事だし。せっかく良いものを作ろうとしているんだから、ここで全部投げ出すのはもったいない。

でも、今は日記を見る気分になれない。幸い、これまでの頑張りが功を奏して1週間前倒しで進んでいる。印刷屋さんへのデータ入稿締切は7/5(月)。余裕がある。日記は冷凍庫に入れて保存しておこう。

とりあえずニンテンドースイッチを開いて、『真・女神転生Ⅲ NOCTURNE HD REMASTER』をダウンロードして遊ぶ。敵の攻撃がクリティカルヒットして、主人公が死んでゲームオーバーになりがちだけど面白い。

夕方、母から電話がかかってくる。近況を話すがうっかり「この世は地獄」と口走ってしまう。しまったな。

 

6/24(木)、心療内科に行く。手帳を取得しようと思いますとついに宣言する。取得のため、次回の診断でソーシャルワーカーと面談するらしい。ソーシャルワーカーって何者...ちゃんと調べておこう。

 

6/25(金)の朝、久々に本の制作に取り掛かる。PDFを見て文字化けや画像抜けなどをチェックする。あとがきを見て自然と涙が出てくる。そこには最優先すべき大事なことが書いてある。以前の感情を思い出し、鬱の谷底から抜け出す。リセットボタンが押されて分銅の数が元に戻ったような感覚。この日記は自分にとって非常に大切なんだ、手放してはいけない。車輪の再発明ではなく、どう自分の中で噛み砕いて取り込むか。読者の声だとか様々なことが、今の僕には見えない場所へきっと導いてくれるのだろう。夜にチェックが終わり、ついに完成する。

 

6/26(土)の朝、データを印刷屋さんに送る。修正事項が返ってくるかもしれないが、漂流日記の書籍版制作はこれにて完結。さすがに疲れた。致命的なミスが無いことをただ祈る。

結局300部作ることにした。印刷屋さんの倉庫に半年まで在庫を置けるようなので、150部を倉庫に置いてもらう。竹田さんのおかげで今後の進み方はわかっているし、スモールステップ。いけるいける。

 

夜、岐阜の古書店「徒然舎」さん主催の「小さな古本屋講座」に顔を出す。店主の深谷さんの開業までの経緯を聞くと、割と僕の境遇に似ている。どのような職業に就くとしても意外となんとかなりそうな気がする。ちらっと客席を見ると、ひとしずくさんにいらっしゃったような気がするお客さんが紛れ込んでいた。あまりにもひとしずくさんに入り浸りすぎて、客が客の顔を覚えるようになってしまう。参加者のLINEグループもできる。たまたま変なアイコンにしていなかったので命拾いする。何人かインスタなどで繋がっているけど、友達が増えればいいな。

 

6/27(日)、居心地の良さを求めてひとしずくさんにやっぱり行ってしまう。先週作ったExcelの売上管理シートを、実務の流れに合わせて改修したりする。お客さんからあの人は何者だと思われているに違いない。

本をいっぱい買ったので読む。絵本作家ヨシタケシンスケさんの『ものは言いよう』は今の僕にドンピシャだった。特に最後のロングインタビュー。制作の面白さについて、自身の葛藤も交えながらスパッと明快に述べている。もっと早く出会っていれば。

 

 

この1週間、心配をおかけして本当に申し訳ないです。制作も一段落ついて、落ち着いて本を読めるようになりました。山のような積ん読をのんびりでいいから読んでいこう。でも、しないといけないことも少しある。例えば、本の梱包。5冊送るのか15冊送るのかで使う段ボールの大きさや緩衝材の数が異なるはず。これを予め「○冊送るにはこのダンボールとこの緩衝材」というふうにモジュール化したい。まずは、ホームセンターに行ってみよう。