ベッドタウン

家に友人がやってくる。つまり、家の大掃除が幕を開ける。

 

掃除を積極的にする気がない。掃除をする時といえば、友人が家に遊びに来る直前である。徹底的に掃除をしてその場しのぎ、やり過ごす。タイミングを与えられて消極的に掃除をする。

ところが、ここ1年ほど誰も僕の家に来ていない。その間に積年の汚れがたまっていき、増えた蔵書が本棚から飛び出していく。結果、九龍城のような住まいと化す。様々なものが積み上がり、なおかつ何故これの上にあれが積まれているのかよくわからない。朝起きて机上に積まれた本をベッドの上に動かし、寝る時に本を机上に戻す。これが僕のモーニング・ルーティーン。Youtubeに動画を投稿するか。

日頃から自宅のことを「雲雀丘ゴミ屋敷」と称しているが、これを「雲雀丘花屋敷」のあるべき姿にしなければならない。山の手の高級住宅街、阪急宝塚線沿線の邸宅に憧れる。平地にしか住んだことの無い男のちっぽけな嫉妬。住んでみたいな坂の街。

 

床にばら撒かれた様々なものを適切な位置に移動させて、はたきで埃を払い、掃除機をかけて、床を拭く。いざやると決めたらきっちり動く。ただ、動き出すまでに僕は数か月かかる。特に、掃除機をかけるのが嫌いである。掃除機の音で音楽が聴こえないから。退屈で退屈でしょうがない。それでも地道に淡々と進めて綺麗にしていき、なんとか友人を迎えられる状態まで回復させる。掃除好きな人は凄いよ、偉いよ。凄いと思うだけで、なろうとは思わないけど。

 

住み始めた頃はすっからかんの「娯楽の無い家」だったが、今はもので溢れかえっている。ルンバを走らせるには障害物が多すぎる。もう少し広い家に引っ越すべきか。しかし、広くなると掃除する床面積も大きくなる。それはそれで嫌だな。そう考えていると、どんどん山の手のライフスタイルが眼前から遠ざかっていく。