ゴースト・トラベラー

ここ最近、てきちゃん漂流日記の商品委託をしていただけそうな本屋さんをネットで探していた。リトルプレスを取り扱っている本屋さんのホームページを開いてお店のコンセプトを確認する。次に、その店のオンラインストアを開いて品揃え・傾向を見る。そして、Excelにデータを入力していく。ちまちま続けて、あっという間に40店舗以上のデータが蓄積される。研究熱心。

 

ざっと眺めて感じたことは、「王道が必ずしも正攻法ではない」こと。そりゃ、リトルプレスに特化していることで有名なお店に置かせてもらえれば万々歳だけれども、知名度ゼロの今の僕にとって身の丈に合っていないような気がした。リトルプレスといえど、よく見ればどれも有名な著者だらけだ。勝算だとか採算だとか、そういうものを基準にしていればいつか疲弊するのは間違いない。長続きしない。東京や京都のお店を中心に調べていたが、だんだん飽きてきた。

そうではなく、「僕の知らない街に本を置いてみたら面白そう」といういたずら心が徐々に生じ始めてきた。地図めがけてペンを投げて、命中した都道府県の本屋さんを調べる。新潟、岡山、愛媛、宮崎、どんどん調べていく。僕が知らないだけで、調べてみたら意外とリトルプレスを取り扱っている本屋さんはある。しかも、ご当地リトルプレスもあったりして品揃えも面白い。本屋さんのホームページを見ているだけで旅をしているような気になってくる。コロナ禍のご時世だし、僕の代わりに漂流日記に旅行していってもらおう。そして、コロナ禍が落ち着いて本のイベントが増えたら、僕1人でも、フジモテキイグチのみんなでもいいから遊びに行こう。そうしよう。絶対楽しいじゃん。

メールのやり取りをいろいろ進めて、ついに故郷大阪の書店さんで取り扱っていただけることになった。書店さんからOKのメールが届いて頬が緩む。あの街、あの駅。電車で通り過ぎたことは何回もあるけれど、降りて辺りを歩いたことがない。気付いていないだけで、知らない街は至る所に眠っている。その街を掘り起こす。その街を知る。その街の人に出会う。何かが起きる。その時を待つ。