テキイグチ・レポートⅠ

16日の朝、藤本さんから連絡が入る。どうやら、ここ最近お仕事を頑張りすぎたためか体調を崩してしまったらしい。コロナではないようだが(そもそもコロナの方から逃げていくと思われるが)、心配である。という訳で18日に高松市で開催される「海の見える一箱古本市」はテキ・イグチの2人体制となる。日記のタイトルが「フジモテキイグチ・レポート」となるのは来週の尼崎イベントかな。

とはいえ2人体制だと本の数に物足りなさを感じてしまいそう。ラッキーなことに、午前中に瀬戸のひとしずくさんに漂流日記を納品する予定にしていた。ひとはこ本屋ブースから、置かせていただいている僕らの古本をいくつか回収して高松に持っていくことにする。

午後、漂流日記も数冊追加しキャリーケースに詰め込む。膝で挟んで力を入れて、無理やりキャリーケースを閉める。おそらく50冊くらい入っている。玄関へ運ぶことすら一苦労。他にも陳列用の箱などが入った袋、キャリーケースに入りきらなかった本を入れたトートバッグも持っていく。これらを名古屋駅へ運搬する。腕の筋肉が既に悲鳴を上げている。

夕方、近鉄特急ひのとりプレミアムに乗る。無料のロッカーが車内に設けられているので、キャリーケースをこの中に封印する。重力から解放された気分になり、さらに席のリクライニングも倒してウキウキになる。

近鉄特急の、山をぶち抜いて大阪に向かっていく感じが好きだ。桔梗が丘や南が丘といった住宅地の風景が流れていくのも良い。逆に言えば、名古屋駅から津駅の区間は平坦なので退屈である。だから、津駅に到着するまでにノートパソコンでメールの返信をしたりする。漂流日記を制作してから、いろいろな本屋さんとコンタクトを取るようになった。よくわからないまま、なんだかおおごとになっていく。会社の人たちには想像以上に日記がバレているらしいし、会社の悪口も書けやしない(特にないが)。これから僕はどうなっちゃうのだろう。まあ、なんとかなるっしょ。そう思いながら津駅を出発した外の景色をぼんやりと眺める。青山高原を駆け抜けて、奈良盆地へと下り、生駒山地を越えればあっという間に大阪難波。泣く泣くキャリーケースをロッカーから解放して連れて行く。車が欲しい、せめて駐車ができるようになってレンタカーを安心して借りれるようになりたいと、ペーパードライバーの僕は切に思う。

難波に着いた頃、ちょうど帰宅ラッシュの時間帯で、クソデカ荷物の僕は快速急行に乗れないことに気づく。仕方ないので鈍行で神戸三宮に向かう。それでもなかなか座れず右往左往している間に、三宮に着いてしまった。ヘロヘロでバスターミナルの椅子に腰掛けていぐっちゃんを待つ。

 

しばらくして、いぐっちゃんがやってきた。持ってきた本を見せてくれた。香川の本と手渡してくれた本の表紙タイトルが『岡山はおだやか。』となっている。『香川はおおらか!』と間違えて持ってきちゃったらしい。岡山の一箱古本市を探そうか...

バスに乗って神戸港のフェリーターミナルへ向かう。ジャンボフェリーのチケットを入手して椅子に座り、持ってきたスケッチブックに書く内容を考える。

安西先生、読書がしたいです...」

「綺麗な顔してるだろ。本なんだぜ、それで。」

「それってあなたの読書体験ですよね?」

など、ネットミームに毒された2人の独擅場と化す。なぞなぞ名人いぐっちゃんの謎なぞなぞも書き加える。答えられたら2割引。

 

17日午前1時、ついに船に乗り込む。高松へ本を密輸入だ。昨秋の西伊豆逃避行でフェリーやバスに乗った時、めまいが乗り物酔いを無力化することがわかった。めまいさえ収まっていれば大丈夫なはず。と高をくくっていたが、どうも車が船に乗り込む時の振動が大きくて盛大に酔う。緊急事態用に持ってきた酔いどめトローチでごまかす。高松港に着いて気づいたが、どうやらコンテナなどの大型貨物を積んでいるようだ。そりゃあれほど揺れるわけだ。

 

とはいえ、荷積みが終わって出港すればそこは穏やかな瀬戸内海。次第に酔いも消えていった。売店で島うどんを食べる。さつま揚げのようなものがうどんに入っていると思ったら、実はおかきだった。だしで柔らかくなり濡れせんべいのような感じ、とてもおいしい。雑魚寝スペースで上着を畳んで枕にして眠る。

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翌朝5時、爆音でジャンボフェリーのテーマソングが流れ、高松港に到着する。寝ぼけ眼で船を降りる2人。怒涛の寝ぼすけ読書ツアー開幕である。

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