書けない人

ON READINGの黒田さんから「漂流日記5冊持ってきて!」と連絡を頂く。まだサンプルをお渡ししていないのに納品の連絡がやってきた。

高松から帰ってきてちょっと休憩したら、漂流日記を梱包したりと準備する。水曜日、漂流日記とともに東山公園駅に向かう。なんだか、だんだん緊張してくる。地下鉄はマスク付けなきゃだから息苦しいし。お店に着く頃には心拍数がとうとう130を超えており、頭頂部から陽炎が揺らめいている。黒田さんにめちゃめちゃ心配され、お店のベンチに座ってしばし休む。

どうしてこうも緊張してしまうのか。緊張しない職業はなかろうか。そういえば先日、高野文子の漫画『るきさん』を読んだ。主人公のるきさんは自宅で電卓を叩いて保険の計算をする仕事をしている。あんまりにも計算が速いので、1ヶ月分の仕事が1週間で終わり、あとは悠々自適にのんびりと暮らす。大変羨ましいが、これはバブル期前後のストーリー。ああ、昭和は遠くなりにけり...

半ば脳みそがゆで卵になりながらも、委託条件など相談する。その時、たまたま作家のお客さんがいらっしゃり、即断で漂流日記をお買いになられる。「半年後ぐらい先になっちゃうかもしれないが、読んだらメールします!もしかしたら僕らのポッドキャストに誘うかも!」と仰っていたような気がする。その間、ずっとあわあわしていた。

地道に本屋さんとコンタクトをとって、全国各地4店舗・3イベントでの販売・展示が決まった。まだ原稿を確認いただいているお店もあるので、もう少し増えるかもしれない。少しずつだが、おおごとになってきた。部屋に置いてある漂流日記の段ボールもついに1箱消える。ただ、置かせていただくことと、売れることは別問題、どうなるかはさっぱりわからない。ノミよりも小さい心臓でこの先やっていけるのだろうか...

 

話は打って変わって、手帳取得のための問診票を書くのをすっかり忘れていた。とりあえず勤務先や病歴などを書いていくが、途中で完全に手が止まる。

日常生活における症状及び必要な援助を書かなければならない。それも、食事・整容・買い物といった項目ごとに。

 

僕の頭の中で思い描いていたストーリーは、

①めまい・躁鬱で日常生活送れない

②休職

③経済的支援が必要

④そのために手帳取得

である。鬱状態になると日常生活が壊滅的になる。基本的に何もできない。そう書きたいのだが、項目別に細分化してある。さらに、手伝い・援助が必要かどうかも書くらしい。自分でなんとかするので特に必要ない。欲しいのは経済的援助、その一点である。申請のフォーマット・形式・システムにもやもやするが書くしかない。

もう一つ重大な問題として、鬱状態躁状態の記憶がほとんど無い。落ち込んだのはなんとなく覚えているが、何故落ち込んだかを思い出せない。なんなら後々振り返ってみると、どうしてこんなに落ち込んだのか全く理解できないことがある。完全に記憶が欠落している。仕方ないので、漂流日記を開いて当時を思い出しながら問診票を書く。一応書いてみたが、自信はない。たぶん申請に落ちると思う。その時はその時だ。そう言い聞かせるしかない。