甘味の妖怪

それからずっとコメダのソファに座っていたが、徐々に過呼吸になってきた。迫るワクチン接種のお時間。緊張して既に腕がだらりと重い。これはワクチンの副反応ではないか、副反応が出ている、よし、家に帰ってよろしいか。そうツイートしたら、だめと犬飼さんにツッコまれ渋々接種会場に行く。

 

接種会場に着くと、たくさんの人間がベルトコンベアのように順路を駆け巡っている。その光景を見て緊張が和らいだ。今にも沈没しそうな豪華客船から飛び込んで脱出する時、ためらっている日本人には「皆さん飛び込んでますよ」と教えればすんなり飛び込む、みたいなエスニックジョークがある。たぶん、それと一緒である。書類を提出して、医師の問診を受けて、順路をどんどん進む。不安なのでベッドの上でゴロンと横になり接種。全然痛くなく、あっという間に終わってしまった。

 

それから15分ほど椅子に座って待機。ぶっ倒れることもなく接種会場をあとにして駅へ向かう。段々と左手の感覚がなくなってきた。握力が元々弱く左手は20kgくらいしかないのだけど、今は3kgぐらいしかないんじゃないか。傘を持つのもしんどい。

 

帰り道、コンビニに寄る。クーリッシュ2つ、ハーゲンダッツ1つ。おまけにレジで見つけた羊羹を2つ購入。甘味の妖怪が現れたといわんばかりの目で店員が僕を見る。妖怪、家に帰る。

 

ご褒美のハーゲンダッツをいただきながら熱を測る。36.0℃。平熱が36.7〜37.0℃なので下がっている。逆に不安になる。

腕がズキズキと痛く、あれこれと動くのもめんどくさいので晩ごはんはウィダーインゼリーにした。本を読むのも億劫で、ずっとYoutubeの爆笑動画を見る。夜食に羊羹。簡単に開封できて右手で食べられる、買って大正解。和の甘さが欲しくなった夜。もう一つおまけに食べてしまう。

寝ようとするが腕が痛い。保冷剤をタオルで包んで腕に巻く。あまりに冷たいので凍傷しないか少し不安だ。結局、左腕の違和感が気になり続け全く眠れなかった。

 

翌日、平熱だが腕が痛い。肩のあたりの関節がおかしい。歯車がガガガとつっかえているような感じ。とりあえず一日中ゴロンと寝転がってスマホを見る。それも飽きて、今度は積ん読を減らそうと漫画を読み始める。読んだら古本市で並べようかなと思っていた『草子ブックガイド』の物語が自分の生活に重なりポロポロ泣いてしまう。絶対に手元に残して、何回も読み返すべき作品だと思った。頭の中で整理ができたら『草子ブックガイド』のことも日記に書こう。淡い色合いを出すための装丁の工夫にも驚く。表紙を結構きつめのビビッドカラーで塗り、キャラクターの線画を印刷した半透明のカバーをかぶせる。2つのレイヤーが重なることで、揺れ動くような甘いパステルカラーを生み出す。何回試行錯誤したのだろう。もはや魔法だと思う。こんなに美しい本は無い。


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今日、まだ腕はほんの少し痛いけれど通院があるのでコメダに来ている。モデルナワクチンの2回目接種は高確率で高熱が出るらしいので怖いな。嫌だな。とりあえず籠城するために羊羹を買い占めなきゃな。