さんぽみち・レポートⅡ

24日の日曜日、早朝にいぐっちゃんが家にやってきた。久々に家に人を招くので、3日前から大掃除をしていたのだが、なんとか間に合ってホッとする。それでも物に溢れて『ミッケ!』のようになった部屋を見て、床が抜けそうだし引っ越しする時も大変そうだから1階に住むべきではと提案される。大の虫嫌いなので絶対嫌である。床面と地面が離れれば離れるほど、枕を高くして眠ることができる。

ちなみに、藤本店長は福井県高浜町で漁村集落のフィールドワークのためこの日は不在。11月は参加予定。参加できないと言い出したら、来週出店の高浜USFESで海水浴場から日本海に放り込む。

 

玄関に置いた机やキャリーケースを持って商店街へ向かう。着いた頃にはもう既に腕が疲れ始めていた。

午前9時、受付を済ませる。スタッフの皆さんに挨拶。遊びに来てねと宣伝。スタッフのいそいそさんに久々にお会いする。前回のさんぽみちから2年ぶり。「漂流日記をゲットしてこれから読むよー!」とのことで感謝感激。アルコール消毒、検温。その後スタッフ箱に僕の本を追加する。

 

フジモテキイグチブースの設営を始める。折りたたみ机を展開し、ブックエンドなどを置いていく。思いのほか本をたくさん持ってきたので配置に悩む。平置きにしたい本が山ほどある中、並べ替えつつ平置きにする本を絞り込んでいく。微妙にブースと隣の柱の間にすき間があるので、そこに広げたキャリーケースを置いてその上に本を並べる。ブースの真ん中には、店のコンセプトとこれまでの出店情報を示したボードを掲示する。いつもの巨大スケッチブックも置いて設営完了。隣はいつも尼崎の古本市でお世話になっているお店。いつものようにほのぼのと世間話をする。


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午前11時、イベントスタート。最序盤のお客さんは皆、鷹のような目をしている。じろっと。ドキドキする。とりあえずニコニコして本や我々の紹介をする。商店街を一巡して品揃えを一通りチェックしたお客さんから、鳩のような目になっていく。なので、最序盤の売り上げはあまり期待しない。

はずだったが、かなり序盤で『The Best of LIFE』が売れちゃった。1936年から1972年にかけて発行されたアメリカの週刊誌『LIFE』の記事からセレクトして制作された大判写真集。店番しながらわいわい読もうと思っていたので、まだ読んでなかったいぐっちゃんが「どわあ...」と悔しそうな顔をしている。それからも本は売れていく。売れれば売れるほど、来週・再来週の出店で並べる本がなくなっていく。それはそれで少し困ったりする。

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作ったMAPボードやフリーペーパーに興味津々のお客さんが多く、非常にホッとする。フリーペーパーも面白いと大好評で、第2号も作りますかという気になる。ネットプリントでの展開や、フリペ刊行記念トーク会をしたいとのこと。そのうちね。本の推しポイントをうりゃうりゃ喋って、僕の知らないことをお客さんが知っていたりして、そういうやりとりがグッとくる。いつも店頭に並べているストリートスナップ写真集『FRESHFRUiTS』も、通りすがりの方々がそれを見ては、「FRUiTSだ!」と立ち止まったりする。しめしめとこっそりガッツポーズする。

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「本・ひとしずく」さん常連のえんがわさんが現れる。お店に行けばしょっちゅうお会いする。えんがわさんは僕の漂流日記を何回も読んでいらっしゃるようで、僕が日記に書いて覚えていないことも全部覚えている。安心して忘れるために記録しているから、覚えていないのは間違っていないのだが、それにしてもえんがわさんの記憶力は凄い。先祖は稗田阿礼かもしれない。そういえば何故えんがわさんと言う名前なのだろう。僕は縁側だと思っていたが、いぐっちゃんは魚のえんがわと思っていた。この際、由来を聞けばよかった。そう思いながら頭に寿司が浮かんで腹が鳴る。

 

出店者さんやスタッフさんも徐々にフジモテキイグチブースにお見えになる。スタッフのナカノくんがやってくる。持ってきた『オルタ・カルチャー』を全部読むまで帰さないといぐっちゃんが言う。オルタナティブ・カルチャー900項目の大辞典、全558ページ。全部読んだら11月になってしまう、ナカノくんがかわいそうだ。

昨日『どんぐり』を買った「HUT BOOKSTORE」さんがお越しになる。HUTさんがびっくりしそうな本を探し、『地下アイドルの法律相談』をおすすめする。弁護士の深井剛志さんと元地下アイドルの姫乃たまさんの対話に、漫画家西島大介さんの漫画を加えたもの。意外と汎用性がある本で、本の後ろには判例や契約書の文例も載っている。あまりにニッチそうに見えるため今まで誰も買わなかったのだが、なかなか実用的な名著だと思っている。HUTさんもためになる!と感じたようでご購入いただいた。地下アイドルの沼にハマりますようにと、アイドル大好きの我々はHUTさんの背中を見送った。

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今回、いぐっちゃんはフィルムカメラCanon Autoboy2」を持ってきた。藤本店長のゲームボーイポケットといい、いろんなもん持っとるなほんま。これをテーブルに置いて自由に撮ってOKとする。僕が買ってきた焼きそばを食べていると、ちびっこにAutoboyでパシャリと撮られてしまった。凄まじくブレて線状になったやきそば男がフィルムに眠っている。現像が楽しみだし、若干不安でもある。

 

午後1時30分、いぐっちゃんが友人と昼食をとるとのことで僕がお留守番する。次第に、睡魔に襲われてしまった。昨日うっかり薬を飲み忘れたのも原因か、体力を使い果たしたのが原因か。充電がパチっと切れた感触がある。店の前でむにゃむにゃと立ちながら眠ってしまう。『オルタ・カルチャー』を立ち読みしているお客さんがいる。なんだこの本はと驚きの目でページをめくっている。僕はそれをぼけーっと眺めながら硬直している。ブースに2体の石像。その状態が20分ほど。もしかして、全部読むまで帰らないのではないか。無言のせめぎ合いの後、ついに本の値段を尋ねられる。びくっと目を開いて値札をお見せする。「ああ...」という反応をなさる。値下げを提案したいが、僕の本じゃないので勝手に提案できない。そのままお客さんが礼をして去ってしまい、その後ろ姿を寂しげに見つめる。1時間ほど1人で店番していたがとうとう睡魔の限界が訪れ、LINEでいぐっちゃんを呼び戻す。こういう時のために、予め値下げ許容価格のようなものを3人で決めるべきなのかもしれない。しかし、語らうための本屋だから、本人が喋ってないのに本が売れるのももったいない気がする。手探りの部分がまだまだ多い。

 

いぐっちゃんに店番を任せ、早歩きでお店を巡る。動いて眠気を遠ざける。いつもお世話になっているON READINGさんで『整体対話読本 ある』をおすすめされ購入。これがあまりにドンピシャな本だった、日記にこの本の話をそのうち書きたいな。

トンガ坂文庫さんで『消失の惑星』を購入。仲良しな文芸ユニット「るるるるん」のクララさんが今年のベスト小説と太鼓判を押していた1冊。ついに発見、即購入。

特別企画の「円頓寺書店」も覗く。円頓寺読書代理店。世界各地の場所が示された旅行券型のしおりを選択して、その土地に関する本を購入することができる。売り切れのものが多かったが、気になるところを探してみる。選んだのは、千島列島。先日、樺太鉄道株式会社の沿線案内パンフレットの復刻版を読んで、亜寒帯の大地に思いを馳せていたのである。近い距離にあるけれど、なかなか行ける場所じゃないですからね。

 

ブースに戻ると、漂流日記がちょうど売れたところだった。例えば、置かせていただいている本屋さんで、僕の知らない間に漂流日記が売れる。しかし、実感が無い。ちょうど、その一部始終に遭遇してしまったような不思議な感じがした。押しつけがましく宣伝をしないようにしているけれども、今日はそれなりに売れている。お迎えいただいた皆様、感想をお待ちしております。様々な声や経験を吸収して、噛み砕いて、漂流日記は突き進んでいくと思うのです。

 

そうしてあっという間にイベント終了の16時。急いで撤収作業へ。土曜日のスタッフもそうだけど、1日の終わりがすぐやってくる。楽しい日ほど早く過ぎていく。高校時代の体育祭のような日々を送る。

荷物を僕の家に置いて、いぐっちゃんを名古屋駅に送る。いぐっちゃんリクエストの味噌煮込みうどんを食べながら今日の反省会をする。とはいうものの反省点、特になし。初めて味噌煮込みうどんを食べたが、麺が固くてゴワゴワしている。二郎系ラーメンの麺と似ているとおバカな僕はこっそり感じた。

 

いぐっちゃんを送って家に帰る。買った本を並べて、達成感でほっこりする。真面目なことは11月の出店が終わったら書こう。ひとまず10月の前半戦、この日記はここまで。

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【前半戦で購入した本】

○整体対話読本 ある / 川﨑智子・鶴崎いづみ(土曜社)

円頓寺書店 千島列島(中身は秘密)

○蛍光板 / 吉村冬彦岩波書店昭和10年

○どんぐり / 寺田寅彦中谷宇吉郎山本善行 撰 灯光舎)

○ミシンと蝙蝠傘 / 稲垣足穂中央公論社

○一度きりの大泉の話 / 萩尾望都河出書房新社

もものかんづめ / さくらももこ集英社

不条理日記 / 吾妻ひでお(奇想天外社)

世界の終わりの魔法使い / 西島大介

河出書房新社

○消失の惑星 / ジュリア・フィリップス(早川書房

○うれしい悲鳴をあげてくれ / いしわたり淳治ちくま文庫

○建築設計のための教科書 / 高松伸京都大学学術出版会)

○エンジニアに学ぶ101のアイデア / ジョン・クプレナス + マシュー・フレデリック(フィルムアート社)

ビジネススクールで学ぶ101のアイデア / マイケル・W・プライス + マシュー・フレデリック(フィルムアート社)