そもそもケアってなんだろう(3)

11月25日の深夜、名古屋駅から高速バスに乗る。とっとと寝ようと思ったが、この先豊田、岡崎のバス停に停まるようで、それまで消灯しないらしい。アイマスクを持ってくるのを忘れてしまった。結局午前1時まで起きており、それ以後も寝ては起きての繰り返しだった。

バスが停車して前方のカーテンが開く。休憩時間だ。海老名あたりかなと思いながらコートを羽織って降りると静岡県の足柄SAだった。まだそこかいなとため息が出る。それなりに長時間の乗車で身体バキバキになる。

11月26日午前6時、バスタ新宿に到着する。宿泊するカプセルホテルに大量の荷物を預けたい。地図を開くと、ホテルまでどうもかなり遠いと判明する。バスタ新宿はJR新宿駅南側、ホテルは遙か北の西武新宿駅のあたり。新宿は海のように広い。キャリーケースをゴロゴロ転がして進むが、東京特有の高低差を埋めるエレベーターが早朝で動いておらず、震える両手でキャリーケースを掴みながら階段を降りる。ただただ真っ平らな大阪平野を見習ってくれと思う。

靖国通りに差し掛かり、前方にキラキラ輝く「歌舞伎町一番街」の看板が見えてはしゃぐ。

「『龍が如く』で見たことある!」

しかし、歌舞伎町の中に宿泊先があることに気づき徐々に怖くなる。重いキャリーケースをひきずる牛歩は格好の的で、風俗・マッサージ屋の勧誘に朝っぱらから捕まること捕まること。ひどい目に遭う。TOHOシネマズ新宿の2つ隣のホテルに着いて荷物を預ける。滞在している間、歌舞伎町のとある事件で社会に緊張が走ったが、僕はこの街でのらりくらりしていた。

 

新宿から埼京線に乗る。車内のモニターに新宿、そして終着地の川越、新木場の天気予報が映し出されている。新宿と新木場、同じ23区内で天気予報に違いなんてあるのだろうか。大阪だったら梅田と南港の天気予報みたいなものだよね、不思議。本当かなあと思いながらよく見ると、ほんのわずかに異なっている。山の手と臨海部の違い?

 

池袋で降りて、ジュンク堂書店池袋本店さんに潜入する。漂流日記がしれっと並んでおり、笑いをこらえる。

「ほんまに売ってるんや...」

ただその一心。

秋に10冊納品したのが残り2冊になっている。どう考えても友人たちの組織票だがありがたい。ちなみに、後日追加発注を頂きさらに10冊発送することとなった。不思議なことだらけだ。

これからいろんな街へ移動するというのに、早速分厚い本を1冊買ってしまう。先が思いやられる。

 

西武に乗って江古田に行く。日本大学芸術学部のキャンパスをぐるりとお散歩して、街中にある大学はいいなと羨望の眼差しを灰色の箱に向ける。周りに中華料理屋すら1軒も無い僻地大学に通っていた僕は、東京のこういう大学に凄まじいほどの憧れを、あきれるほどのコンプレックスを未だに持っている。

漂流日記をお取扱い頂いている「百年の二度寝」さんに伺う。気になる本だらけで棚を右往左往し続ける。スマートウォッチの歩数計がどんどんカウントされていく。

中野までバスで出て、JRで吉祥寺に行く。友人から「BASARA BOOKS」さんを激しく推されたのでやってきた。長年探していた自主制作漫画誌『USCA』の3巻を発見し即購入。今まで3巻だけ持っていなかった、これで全5巻揃った。早速友人に報告する。本当にミラクル。

京王線で下北沢へ行き、会場のBONUS TRACKへ偵察に向かう。道中、おしゃれな若者がいっぱいいる。予想以上に地形がうねっている街だ。キャリーケースで移動できる気がしない。BONUS TRACK内の「本屋B&B」さん、「日記屋 月日」さんに挨拶する。下北沢よりも1駅となりの世田谷代田から来た方が、坂が緩やかだよとありがたいアドバイスを頂く。これなら大丈夫。

 

キャリーケースにこれでもかと本を詰め込んだせいで、十分な着替えが入らなかった。下北沢のユニクロジーンズを買う。現地調達。新宿で陳列用の木箱なども買う。コインロッカーに預けて新大久保で会社の先輩たちと待ち合わせ。思いのほか街は人が多い。みんなでサムギョプサルを食べたり、市場に行ったりする。お互いそれなりに元気そうだった。でっかくて分厚い豚肉とか買いたかった。

 

西新宿で注文していた印刷物を受け取った頃にはとんでもない荷物を運んでいた。既に腱鞘炎気味になりつつ、とっとと寝て1日目を終える。