ロジックとファンタジーの間

YoutubeDr.ハインリッヒの『砂漠』という題の漫才を見る。

「この世にはねえ、伏線を回収しない物語があるのです。」

という台詞がそれ以来頭から離れず、しばしば斜め左を見つめながらぼんやりと考えるようになってしまった。


『砂漠』 - YouTube

 

1ヶ月ほど前に藤本さんから卒業設計エスキス会をすると連絡が来る。大学のOBたちが集まって学生たちの卒業設計案を指導・アドバイスするというもの。

誘われた時、僕でいいのだろうかと思った。後輩たちにとってありがたい言葉の1つも出てこないだろう。大阪に帰るのも面倒であまり気乗りがしない。

 

どういう視点でアドバイスすりゃいいのだろうか。考えて悩む。まあ、気乗りしないままだったらサボればいいやと思っていた。だが、フジモテキイグチのインスタアカウントで後輩の卒論提出に関する投稿にいいねをしたら、エスキス会よろしくお願いしますと返事が来てしまう。申し訳なくなり渋々大阪へ行くことにした。

 

お金がないので新幹線に乗らず、名古屋みやげを片手に新快速を乗り継いで大学へ向かう。

大阪で長年暮らしていた僕にとって驚いたのは、名古屋の周りの山が冬になると雪で白くなることである。大きくて真っ白な御嶽山を風景の隙間から発見したりすると、日頃あまり気にならない気候の違いを改めて感じさせてくれる。

関ヶ原辺りですっかり雪。米原で乗り換えて、どこで雪が消えるか気になって窓の外を眺め続ける。能登川までは一面雪、近江八幡で解け始め、野洲は線路と線路の間にかろうじて雪が残り、草津ですっかり雪は消えた。わずか20分で風景の色が変わってしまった。それも、近江盆地という同一地形内で起きたことなので不思議に思った。伊吹山の魔法使いが杖振って雪を降らしているのだろうか。

名古屋から3時間ちょっとで大学に着く。頭を使う時は糖分が欲しくなるので、降りた駅のコンビニでキャンディなどを買ってきた。研究室に行くと4回生たちが間に合わないと頭を抱えながら手を動かしている。奥でOBの後輩2人がいたので話す。後輩の1人はわざわざ東京から来たらしい。名古屋からやってくる僕もアホだが上には上がいる。

ぞろぞろとOBが集まって予定から大幅遅刻でエスキス会がスタート。最初に4回生の全体プレゼン、その後にOBを班分けして4回生のテーブルを巡回する形でエスキス。一口あんぱんを食べて脳に糖分を放り込みながら、彼らのプレゼンを聞き、クロッキー帳にメモを取る。具体の空間構成を練るというよりは、コンセプト・メイキングの段階らしい。地元のお祭りを題材にした、地元のマンション開発に問題意識を感じた、そういう根っこ・ルーツのある人もいる。一方で、千年後の建築を考えてみたいという人もいる。

 

ふわっとした言葉しか出てこないけど、ロジックとファンタジーの間をどう考えるかだろうなと思う。ロジック一辺倒の物語はつまらないけど、浮ついたファンタジーには説得力が無い。ただ、ロジックとファンタジーが対極にあるのではなく、2軸になって直交座標を描いているような感じで捉える。どうせなら右上の第1象限の果ての方へ突き抜けたい。

でも、それでは説明としては足りないような気がするんだよな。ファンタジーを突き詰めた先にロジックがあるような、軸が捻れて飛び飛びに航行するワープのようなことも時には起こりそうな気がする。テクノロジーの急速な発展を考慮すると千年後の建築の形態を示すのは大変だけど、千年後の人間の持つマインドのあり方をのびのびと示すことで、共感という形で説得力・ロジックを手にするような。そういうワープがファンタジーの持つ力によって生じることもあるかもしれない。気がするだけ、知らんけど。

 

エスキス会でぼちぼちアドバイスして名古屋に帰る。同日に行われていたM-1決勝のネタはYoutubeで今度確認しとこ。それにしても、伏線回収しない卒業設計ってあるんだろうか。