僕が覚悟を決めたのは

【歌詞の引用】

僕が覚悟を決めたのは 庭の花が咲く頃

君に話したらちょっぴり 淋しがってくれたね

 

の歌い出しで始まるサカナクションの『壁』という曲がある。先月にAichi Sky Expoで開催された彼らのライブを観た時、久々にこの曲をノイジーなアレンジで演奏していて、気づいたら目元に涙が滲んでいた。

終演後、飛び跳ねて疲れた足を引きずるように駅へ歩く中、僕も覚悟を決めちゃうのだろうかという漠然とした思いがよぎった。

『壁』は自殺の曲である。

 

大阪に帰るか、名古屋に留まるか。考えがまとまらず反復横跳びをここ最近は繰り返した。

紙の真ん中に線を引く。左に大阪、右には名古屋と書いて、ペンを回して向いた方に決めてやろうかと思った。もはや論理ではなく運任せで決めた方がいいんじゃないかと思い始める。

 

1月13日、運命の産業医面談がやってくる。自分で分析できているんだから年末に襲った鬱のことも大丈夫でしょという診断を受ける。そして、早寝早起き・スケジュール管理をあと1ヶ月特訓したら社会復帰できそうとのこと。ついにラストスパートに入る。無理はしない。

節約のため最近コメダに行ってなかったのだが、朝に外出するリズムを作るためにコメダに行くべしとの指南を受ける。久々に行こうかな。

 

産業医面談が終わったら、会社のスケジュール表を確認して上司と電話する。産業医面談でのやり取り、復職か転職か悩んでいることを伝えたが、考えながら話している間に、頭の中に浮かぶ様々な要因・条件にバツ印が付いていく。理詰めで考えることもなく勝手にどんどん付いていく。最終的には、選択肢にもバツ印が付き始める。

 

「でも、なんかこー、喋ってる間に、復職な気ぃしてきました。」

 

捉えた直感を言葉ではっきりと言う。言ってしまったからには腹をくくる。という訳で、この1ヶ月で症状が急変しない限りは、大阪に帰ることに決める。

後日、僕が大阪の本社を訪れ、上司たちと作戦会議する予定。どういう働き方ができるか、モデルをいくつか検討してみましょうとのこと。1年半働いて、1年半休職しちゃって、それでも拾い上げて頂いて本当にありがたく感じる。

作戦会議にあたって、僕の病気の特徴を整理して資料化しなければならないな。北風が吹いたら鬱になって、縄跳びをしたら鬱が取り除かれるといった体験から、これは理性を超越した病気なのではないかと最近感じる。考えるだけじゃない、身体感覚や直感だとかそういう目に見えないものをまるっとひっくるめて捉える必要がありそうだと。そのあたりをどう仕事に適用させていくか、それがこれから細く長く働く上で非常に重要。

棚の奥から入社したての頃に読んだ本を取り出してみる。黒井千次の『働くということ』。ページをパラリとめくると、ペンで引いた線、ページに付けた折り目が流れていく。1年半のブランクがあるんだし、まずは原点に立ち返ってこの本を読み直してみようかな。

 

今度は母に連絡する。1年半の休職、お疲れ様でしたと母が若干泣きそうになっていた。予想以上に時間がかかっちゃって、心配ばかりおかけして申し訳ないです。

 

復職するにあたって、おそらく譲ってはいけないのは日記を書き残すこと。これをしないと、やっぱり感情の現在地を見失ってしまう。書かないと、働けない。仕事の内容なんて書かないから、「書かせてください!」ってお願いしなきゃ。

Twitterでよくやり取りする武塙麻衣子さんや文芸ユニットるるるるんさんが最近続々と新刊をリリースされた。その盛り上がりを見て、僕も続編作らなきゃという逸る思いを抱く。るるるるんのメンバーであるクララさんが私たちみんなのことを「クラスメイト」みたいと仰っていた。いいなと思った。

最近、若松英輔さんの『不滅の哲学 池田晶子』を読んでいる。もぐもぐ噛み砕くのが難しく、どういうことなのか掴められない部分もあるけれど、それでも、さらりとした中にある力強さに勇気づけられる。

「生涯を賭けてでも「言葉」に出会わなくてはならないのは、自らが救われるためだけではない。自らが「救い」という、大きなうねりの一部になるためである。」

やっぱり、書き残すことで、個の体験を連なりの中に投じなければならないように感じた。それを再確認した。続編制作するぞ、うおー!

 

昨年秋から水面下で動いていたイベントがある。本・ひとしずくさんで開催される「となりの作家さんフェア」。愛知で活動されている作家さん5名がセレクトした本を棚に並べて紹介するというフェア。

 

漫画家      INAさん

詩人      犬飼愛生さん

絵本作家    ねこまきさん

文芸ユニット  るるるるんさん

ひとしずく常連 てきちゃん

 

えらいこっちゃである。しれっと紛れ込んでいる。僕は漂流日記に登場する本の中から選書することに。各書の紹介ポップカードも制作して、昨日フェアのブース設営をお手伝いした。いい感じ。

フェアは今日から2月末まで、お楽しみに。


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ブースの設営を手伝って帰宅し、はちゃめちゃに緊張しながらスマホを持つ。恋愛活動休止中の彼女さんに復職しますと連絡する。相談せずに大阪での復職を決めてしまい申し訳なくなる。

当時お互い思い悩んでいて、一旦放牧してのびのびしてみましょうと休止してみたら、放牧期間がとんでもない長さになってもう1年半も会っていない。連絡も昨年9月以来。彼女さんは愛知に残りたいという意向を持っていたので別れ話も覚悟の上だったのだが、そうはならず、遠距離になっちゃうけどお互いのペースで頑張ってみましょとなった。身体からぷしゅーと力が抜けてへたりこむ。どうなるんだろうという不安もあるけど、動いてみてから考えよう。

仕事に悩んでいた彼女も2月末に転職するらしい。今度おいしいものを食べに行くことに決まるが、1年以上も会っていないこともあって「顔が丸くなった!」など言われたらへこむなあと思う。これから、日々の縄跳びに熱が入りそうな気がする。

 

そのようにして、拡散されていった可能性が瞬く間にパタパタと折り畳まれて収束していった。直感で選択しちゃったけど、いや、直感で選択したからこそ覚悟を決めたいんだと思う。自分の直感を信じて、大切にして、生き抜くという覚悟。