おもちゃ箱

興味がこちらに移っては、あちらに移る。挙げ句の果てに同時並行で10冊ほど読もうとするのだが、1日は24時間、限界がある。そして、こんなにたくさん読めやしないと少し落ち込む。中には勉強しようと思って手にとった本も混じっていて、不勉強な自分になおさら落ち込む。ぼんやりした日々を送っており、言葉にして日記に書く気にもなれなかった。

そういうロジックで落ち込む。それにようやく気づいた、思い出した。やっぱり、一途に1冊ずつ本を読まないといけないらしい。

 

入社してから1年半かけて貯めたお金が、休職していたこの1年半でちょうどスッカラカンになってしまった。また頑張って働かないとと思う。

ただ、病気の関係でこれからは残業できないのだろうと思う。勤務時間内にきっちり仕事を終えて定時で帰るようなことが、1年半ゴロゴロしていた僕にできるだろうかと少し不安になる。メリハリ感の秘訣を盗まねばならない。

上司からプロジェクトの参考資料をいただいたので確認する。目を閉じて腕を組んで首を回すと妄想が浮かぶ浮かぶ。

「ここをこうしたら面白そうかも?」

「どの段階まで進んでいるのだろう?」

「知らない人と話すの緊張するなあ」

「名刺交換ってどうやってやるっけ?」

すぐに度が過ぎてしまう自分に気づいて、妄想を箱に閉じ込めて封をする。ロープでぐるぐる巻きにする。

 

ネットで賃貸物件を探す。以前検索して住みたいなと思っていたら部屋が埋まってしまったのだ。いくつか候補を見つけておき、埋まっても大丈夫なようにする。

リビングにある物品の整理を始める。全然使っていなかった楽器を売る。本については引き取っていただける友人が数名いらっしゃるので、選書してお送りする予定。でも、リビングにある約500冊の大多数は大阪に持っていくと思う。大阪にいる建築の友人たちが僕の新居を大改造したくてうずうずしているらしい。巨大な本棚を作ってほしい。収納がとにかく欲しい。読書と酒の楽園を手にしたい。

引っ越しに関して相談させていただいていたのだが、上司から連絡が届く。4月転勤で想定していたが、どうも5月になる見込みらしい。まだ慌てる時間じゃないとベッドに寝そべる。掃除する気を無くす。大阪城を散歩して桜を見る日を夢見ていたが、今年も名古屋城か。

住んでいるマンションの管理会社に電話したら、退去通知は引っ越す2ヶ月前までにしないといけないらしい。ゴールデンウィークに引っ越すのかもしれないな。

5月のカレンダーを確認する。5月2日の月曜日がおそらく初出社日。火水木は祝日。月曜日に出社しても、みんな有給休暇をとっていて本社に誰もいないような気がする。挨拶とかどうするんだろうか、そんなことを考えて、気づいて、箱に押し込んで封をする。

 

こんな日々でも実は、これまで症状を観察し続けた甲斐あって大まかには落ち着いているように感じる。以前に比べてよっぽどマシである。一方で、細かい浮き沈みがどうしてもある。全ては理解できない。それらをまるまる引っくるめて、そんなものだと受け入れて、生活に落とし込むことができるか。結局、その点に尽きると思う。様々な不安が水平線の向こうへ散らばっていく中で、垂直だけ見つめて螺旋階段をぐるぐると降りていかないといけない。

ただ、自分の中ではわかっている。何でもかんでも自分でやろうとしてしまう悪い癖がある。人に頼ろうとしない。その癖、失敗を異常に恥ずかしがる。だから不安になる。

全てを未来予知したくて頭をフル回転させる。同じことを1年前の日記にも書いている。わかってはいたけれど、自分の癖が結局のところ一番手強い。おそらく生まれつきの気質で、この癖を休職するまで26年かけて育ててきたのだから、26年かけて修正するのだろうか。そう思うと、焦る必要はないのかなと心が少し安心した。

そういったことを言葉にして書いてみないと、もやもやした黒い塊が僕を苦しめていく。書かなくちゃいけない。億劫なまま書き始めて、今だいぶクリアになった気がする。そうして、開けては封をする細かなうねりを繰り返していくのだろう。