ありではある街

割と安くて、割と新しくて、うんと広いお部屋に住みたいな。現在の1Kの部屋一面に溢れた本の山を売却する気もなく、素晴らしき読書空間をいかに手にするか、そればかりを考えている。

そうは言っても、職場へのアクセスを考えると都心に近い方がいい。大阪市内に住めば、手帳によってメトロとシティバスが無料になるというメリットがある。満員電車はストレスになるだろうし嫌だな。呼吸器系の病気を持っているから、空気がおいしいところがいい。考え事をしたい時にお散歩できるような、大きな公園が近くにあったらな。フジモテキイグチや建築メンバー、高校の同級生たちが集まりやすい街がいいな。

でも、他人の家でどんちゃん騒ぎするのは好きだけど、僕の家でどんちゃん騒ぎはしたくないな。酒飲みながら本が読めるドChill空間にしたいな。

 

なんてわがままなんだろう。

 

街の選択肢をある程度絞った上で物件を探すのが良いのだろう。地図や路線図やアプリに目を凝らす。候補を3箇所に絞る。

 

弟が冬休みで帰省しているので、僕もお土産のういろう片手に実家へ帰る。近鉄特急を降りて、候補の街に寄り道してみる。思ったよりも駅前の交通量が多い。大型車が多くて騒音だけでなく振動も気になる。大通りを曲がった道も、アイドリングしたままのトラックが路肩にたくさん停まっている。うーむ。候補から外れる。

 

家に帰ってみんなでういろうを食べる。弟は言語学にハマっているらしい。格の変化などを比較してみると、どうしてそうなったのだろうと思うようなことがたくさんあると教えてくれた。特に、小笠原語が面白いらしい。実際に小笠原語で話す動画をYoutubeで見てせてくれた。日本語だけど、英語由来の単語が頻繁に現れるし、よく聞くと九州地方のイントネーションが混ざっているような気がする。意思疎通ができない異なる言語圏の間で交易を行うため、自然に作り上げられてできた言語(クレオール言語と呼ぶ)らしい。とても不思議だった。

 

翌日、弟の自転車を借りて候補の街へ漕ぎ出す。川沿いにある候補の街、みんな釣りをしている。とてもほのぼのしている。フジモテキイグチのメンバーでピクニックをしようか。ありではある。

様々な場所で再開発やインフラ整備などが進んでいることから、土砂や資材を運んだ大型車がとにかく目立つ。その流れを遡上していけば、高速道路の出口からトラックが吐き出されていくのを発見する。遡上と観察を繰り返して、大型車があまり入ってこない静かなエリアを絞り込む。

最後の候補の街に着く。自転車から降りて街を歩く。公園が整備されていてちびっ子が駆け回り、市内にしてはのびのびとした雰囲気を持っている。スーパーも本屋さんも近い。ありではある。あとは家賃との兼ね合い。

 

帰り道、通り過ぎようとした街が、実は結構良いのではと気づく。いろんな場所へ行きやすそう。大きな公園はないけれど。ありではある。

ありではある街から、ありである物件を見つけよう。読書と酒の楽園を築こう。

 

ただ、大阪を久々に徘徊してわかったことがある。名古屋に住んで3年、大阪のごちゃついた感じに対する抵抗感がどうも生じているらしい。少しショック。宝くじを当てて神戸の山の手に住みましょうか。