遠ざかる、遠ざける、薄暗い朝

2月28日、実家を出て名古屋に帰る途中、研究室の後輩たちの卒業設計展示会を見に京都へ行く。先日発表された学内最優秀賞も優秀賞も全て、うちの研究室のメンバーだったようだ。えらいこっちゃである。見に行かなければならない。ところが、コロナ禍の状況下のため事前予約制になっているのをすっかり忘れていた。ホームページを見るが、もう枠は全て埋まっている。四条烏丸のコインロッカーにキャリーケースを入れたところだ。予定が無くなった、どうしようか。

 

久々に一乗寺でラーメンを食べる。それから銀閣寺道へ歩き、哲学の道の石畳に乗って散歩する。すっかり春の陽気で、梅が咲いている。ほのぼのした東山の山麓を南へ下っていく。途中に西田幾多郎にまつわる石碑があり、

「人は人 吾はわれ也 とにかくに 吾行く道を 吾は行くなり」

と西田が詠んだ歌が刻まれている。そうねえ、でも難しいよねえ、だけどやっぱりそうでありたいねえ。そう思いながら歩く。

南禅寺から西へ向きを変える。三条京阪を越えて鴨川を渡り、新京極三条のドトールでさくらオレを飲みながら読書して、名古屋へ帰った。

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とうとう3月になる。アラームが鳴る午前6時半、外がほの明るい。20分後にもう一度鳴るようセットして二度寝、6時50分に布団から抜け出す。早まっていく夜明けが僕に安心感を与えてくれる。空気が冷やっと澄んだ冬が好きだったけれど、今の僕には薄暗い冬が嫌い。カーテンの外に広がる黒色の朝を見て、どうしようもなく気分が暗くなる冬が怖くなってしまった。

僕も選書で参加していた、本・ひとしずくさんで開催されていた「となりの作家さんフェア」が2月末で終わる。僕の選書の中では地下沢中也の『預言者ピッピ』、そして意外にも梶井基次郎の『檸檬』が人気だったらしい。改めて読み直そうと手にとっていただけたのだろうか、嬉しいな。他の作家さんたちやお客さん、いろんな出会いがあって本当に楽しかったな。

そういえば『檸檬』のモデルとなった丸善河原町三条に位置していた。しまったな、大阪に戻ったら阪急電車に乗って行こうか。

 

朝からなんだか漫画の気分で、積ん読になっていた漫画を読み漁る。高野雀さんの『世界は寒い』(祥伝社)に大興奮。6人の女子高生がフードコートで偶然拳銃を発見し、消えてほしい人間を各々思い浮かべて殺人計画を企てるというストーリー。元カレや父親を思い浮かべる中、水面下で1人自殺を企てている内気な早坂さんが大好きで、早坂さんの物語になると「頼むから死なないで!」と僕までハラハラする。僕もそういうことを考えていた以上、オーバーラップする。

あまりに面白かったので、全2巻では描けなかったという追加ストーリーをBOOTHで購入する。6人の友情(それは1対1も、グループ全体についても)が活き活きと浮かび上がる。本当に良い漫画だと思う、出会えてよかった。あっという間に心掴まれてファンになった。

作中で登場した次の言葉に心惹かれる。

「また冬が来るのなら、一緒に殺そう。」

今度は薄暗い夜明けの朝をみんなでぶっ殺そう。覚悟しやがれ。

 

BOOTHで追加ストーリーを購入した時、PDFデータも販売できることに初めて気づく。かねてから販売したかったデータが僕にもあるんです。再販の要望をいただいてネットプリントで配布したかったけど、データ容量が大きくて頓挫してまして。でもBOOTHなら。

そのタイトルは『そもそもケアってなんだろう?』

2021年11月27日に下北沢BONUS TRACKさんで開催されたブックマーケット“BOOK LOVER'S HOLIDAY”で限定販売した手書きノートZINEです。漂流日記を書き始める前の絶望生活を綴った前日譚、漂流日記やゲリラ古書店フジモテキイグチの活動で、考え方がどう変わったのか、そんなことを書いてます。漂流日記の理解が深まること間違いなし(たぶん)。

これを無料でダウンロードできるようにしました。限定販売した時も印刷代しかいただいてないですし。

漂流日記読者の皆様、気になる方はぜひ...!

 

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