新しい城主

ロフトと棚のある物件を見つけた。北向きの居室であるが、これなら蔵書は収まるだろうか。ただ、間取りを見る限り冷蔵庫を置けるのか少し不安だ。問い合わせてみると、すぐにコンセントの位置やアースの有無がわかる写真付きで返答が届いた。早くて丁寧、信頼できる不動産屋なのかもしれない。内覧することに決めた。

 

朝、近鉄特急に乗って大阪へ向かう。丸善で発見した『ガンダム・センチネル ALICEの懺悔』を読む。搭乗機内のディスプレイに映し出されている情報を、フォントサイズ・太さ・向きなどを変えながら文章内に組み込んで表現する。行間にディスプレイが埋没している感じ、面白いなあと思いながら読み進める。

上本町から地下鉄に乗って東梅田へ。お昼時のホワイティうめだは想像以上に人が多い。

不動産屋に入って椅子にちょこんと座る。幸い、他人の手に渡っておらず内覧できるとのこと。事前に家探しの条件に関するアンケートに回答していたので、類似した物件も紹介していただく。

その中に、数日前に誰かに奪われ涙を流した大本命の物件が混じっており、驚いてうっかり「あれっ!?」と大声を出してしまう。ご破算になってしまったのだろうか、2室も空いている。確認してもらうと、この本命も内覧できるらしい。という訳で2つの物件を内覧することに決め、車に乗せられ運ばれる。本命だった方に心は完全に傾いている。車の中で営業のお兄さんとラーメン屋さんの話をする。こっちも旨い、あっちも旨い、そんな話をする。

どちらも内覧したけれど本命だった方の物件がやっぱり素晴らしい。結局、こちらにしようと決める。お兄さんも僕が住みたいなあと羨ましがっている。

営業所に帰って契約手続きをする。今後の段取りや初期費用について説明を受け、無事に契約を結ぶ。僕の不動産屋恐怖症が少しマシになる。

 

家に帰る途中、らぽっぽのポテトアップルパイを買う。引っ越しの費用を親にお借りすることになり、詫びのポテトアップルパイである。ただ、自分が食べたいだけでもある。

本命に住めることになったと聞き、親もやったじゃんと喜んでいる。手続きの説明などをして、ワインを飲んで、パイを食べて、寝る。

唸り声をあげながらSUUMOを睨む生活が終わって肩の荷が下りる。あの空間だったら、たくさんの本が収納できるだろう。あの空間を本と酒のユートピアにしようと思うと、物欲と勤労意欲がグングン湧いていく。

「本のためなら、なんでもするズラ」、心の中の蒲郡風太郎がそう言っている。当然ながら、これを適切なレベルへと抑えなければならない。テキトーに働く気は無いが、病気のコントロールをテキトーにする気も無い。

 

今朝、引っ越し業者への見積もり依頼をした。新居の住所を知った上司から、おすすめのレストラン情報がたくさん届いて僕のおなかが鳴り続ける。名古屋に帰って、何をしないといけないのか一度整理しなければならない。