打撃練習

3年前に大阪から名古屋へ移った際、諸々の手続きは会社を介して進められた。僕がすることと言えば、自宅に届いた書類にいろいろなことを記入し、判を捺し、実家の車に本や衣類を載せて名古屋へ運んだくらいである。僕はペーパードライバーなので父が運転し、僕はサービスエリアでソフトクリームをペロリといただく。籠で運ばれる大名のようなものであり、今思うと申し訳なく感じる。なんとありがたいことだったか。

 

初めての個人契約によるお引っ越し、わからないことだらけである。どうしたものかと誰にでも泣きつきたい状況である。

例えば、旧居から荷物を搬出したその翌日に新居へ搬入するとして。退去立ち会いはどのタイミングなのだろう。スケジュールをあまりぎゅうぎゅう詰めにすると負担がかかってしまうが、実際にはどうするのが一番良いのだろう。

そもそも、掃除機って、どうするのだろう。立ち会いの前に、家具で隠れていた部分の埃を掃除機で吸い込みたい。けれども、掃除機もトラックに載せて運ぶのだろう。業者さんが搬出するのを横目に掃除機をかけるのだろうか。あまりに無知すぎてふがいない。直近のタスクをこなさねばならないのに、こういう遠く離れた些末なものが見えてしまう。

 

不動産屋さんから新居契約の案内が届く。内容を見て冷や汗が落ちる。必要な書類に「収入証明書」とあるが、1年半も休職していたので直近の収入を証明できるものが何一つない。2年前の給与辞令でもセーフなのか聞いてみるが、残念ながらアウト。

代わりに「復職証明書」と「在職証明書」を提出することになり、総務の方に作成していただけませんかと、これまた泣きつく。

 

僕の読みだと、3月下旬に鬱がやってくる計算だった。鬱は来なかったものの、様々な方にすがりつく必死な日々を送る。これも復職へのリハビリと思って、投げられたボールを涙目で打ち返す。