クオリティ・オブ・リーディング

一人暮らしをする分には、現在住んでいるこの家は中々の大豪邸だと思う。自分で言うかという話であるが。旧居に比べて広いリビングもさることながら、四畳半のロフト付きときたもんだ。旧居は旧居で素晴らしかったのだが、新居は素晴らしいというか凄まじい。浴室の換気扇の効きが悪すぎるのが難点だけれども。それでも、こと住まいに関しては実に運が良い。

 

引っ越しから1週間経ち、ようやく落ち着いた日常が姿を現してきた。晴れた日には自転車に乗って西長堀大阪市立中央図書館に行ったりする。学生時代にこれでもかと店内を徘徊したチャスカ茶屋町MARUZEN&ジュンク堂書店にも巡礼する。地下1階フロアが全て漫画コーナー、カニ歩きで横に進んでは棚を睨む。浅野いにおの『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』最終巻、以前から読みたかった平方イコルスンの『スペシャル』や山岸凉子の『天人唐草』などを買う。

 

今日のような雨の日には、家でのんびり漫画を読む。本棚から漫画を持ち出し、スマホをリビングに置いたままロフトへと階段を上る。ロフトに敷いた巨大ビーズクッションにドカッと寝転んで、ページをめくる。ここまでスマホを気にせず読書に没頭できるのも久々のように感じる。とはいえ元々遅読であるから、単行本を3冊読むのに4時間かかったりはする。ただ、スピードというよりも読んでいる間の、そして読後の満足感が本当に凄い。この上なくハッピーなのである。「あ〜生きているって最高、読書最高、ビーズクッションマジ最高」、そう思いながら手すりを掴んで慎重に階段を降りる。読みたい本が多すぎる、手に入れたい本が多すぎる。労働意欲急上昇。

母はその居心地の良さにハマってしまい、GWも家に遊びに来るらしい。そのうちロフトに住みつかないか心配に思う。

 

5月4日の毎度おなじみ福井県高浜町USFESを皮切りに、ゲリラ古書店フジモテキイグチの2022年の出店活動が始まる。始まるのだが、楽しみなのだが、少し悩んでいる。この活動を始めてから段々と目が肥えてきたのか、最近は心の底から手放したくない本ばかりと巡り合ってきた。需要と供給が噛み合っておらず、このままでは在庫不足になりそうで怖い。復職前の今のうちにたくさん読もうと本を抱えてロフトに上がるが、これは手放す訳にはいかないと首を振りながらリビングへ下りる。若干困ったなと思いつつも幸福な生活を送っている。それを崩さないように崩れないように。