隠れ成田

Youtubeのアプリを開くとずらりとおすすめ動画が並ぶ中、成田悠輔さんの切り抜き動画が現れる度に「不思議を超えてなんだか奇怪な顔をしているな」と思っていた。ディズニーランドのアトラクションでさえ大泣きする幼少期の僕なら、絶対トラウマになるような顔をしている。顔だけ不思議がって、肝心の動画は全く見ていない。

そんなことを何回か重ねているうちに、よくよく見ると成田さんのかける眼鏡の形が左右非対称であることに気づく。右目が円で左目が四角だ。そういうことだったかと納得がいく。試しにネットで「成田悠輔 眼鏡を外す」と調べる。ああ、普通に優しそうな顔をしている。「不思議な眼鏡をかけている理由は?」みたいなタイトルの動画がたくさん出てくるが、そこにはあまり興味は無く、スマホの電源を消して一人うなずいている。

 

ここ数日で急に冬の寒気が到来した。木造ロフト付きの我が家、もふもふスリッパ無しでは生きていけない寒さである。電気代が高いので、暖房をつけず膝の上にゆたんぽを載せて勉強したりしている。朝は寒くて起きれたものじゃない。アラームを逃し続けている。

都心の事業所へは30分ほど自転車を漕いで通っている。10分ほど漕げばぬくぬくだったのだが、最近はいつまでも背中と末端に冷えを感じる。手袋はどこかに行ってしまった。マフラーも所在がわからない。冬将軍の気配を不安に感じながら毎日自転車を漕ぐ。出発する前にラジオ体操第一第二第三を一気にして身体を前もって温めることもある。

 

自転車を漕いで向かう途中に、鉄道の下をくぐる場所がある。年季の入ったアーチの入口から暗い高架下へ進んでいき、向こう側の出口から飛び出す。後ろから車が来てないかなと振り向いた時、トンネルの出口がアーチではなく長方形になっていることに気づく。それから、ここを通る度に成田さんを思い出すようになってしまっている。